PTX戦記
〜White Avenger〜
第1話「復讐の白き銃口」
バラバラ・・バラ・・
かっては大都市だったという場所、今そこには人々が発する歓喜の声すらない廃墟と化していた。
風が吹きすさび、立っていたコンクリートが地面に崩れ落ちる。
軍事技術の急速な発展は人々が想像できない程の破壊をもたらした・・。
元地球連邦軍の特殊任務実行部隊、通称「シャドウミラー」
彼らの反乱は地球連邦軍の特殊鎮圧部隊「ベーオウルブズ」またの名を「ATXチーム」と呼ばれ「ゲシュペンストMK−III」等の特機で構成された部隊と、
同じく特機で構成された特殊部隊「PTXチーム」による反乱軍の本隊殲滅により苦くも反乱は食い止められた。
無論、本隊を殲滅できたと言っても、反乱を起こしたシャドウミラー部隊そのものが全て消えたわけではない、残党はまだ幾つか存在しているのだ・・。
憎き連邦に対して復讐するために・・・。
シャドウミラーの本隊が駐留していたと思われる基地、その基地も廃墟となっているが、
その廃墟の様子をあたり一面見渡す女性の姿があった。
美しい容姿に長い髪と白い肌を見せる美女である。
「ヴィンデル=マウザー大佐、レモン=ブロウニング博士・・私達を導いてくれた人、あなた達の意思を無駄にしないためにも、私達は行きます。」
巨大な機動兵器PT(パーソナルトルーパー)の傍らでそう決意した彼女は、手に持っていたディスクをポケットにしまった。
ガガ・・ガ
ノイズと共に通信機が反応する。
彼女へ誰かが連絡をしているようだ。
通信機からは陽気な男性の声が聞こえる、組織以前にどうやら彼女とは親しい関係の者らしい。
「墓参りはすんだか?レイナ」
「ええ、ひとまず・・と言ったところかしら、それより、早い連絡ね」
「ああ、奴らを叩くなら今がチャンスかもしれん」
「これを見てくれ・・」
その男性の指示に従い、彼女は小型TVのような通信機のディスプレイを開けた。
その小さなディスプレイには、剣を持つスーパーロボット・・超闘士グルンガストと、
ブラックホールエンジンを搭載している諸刃のパーソナルトルーパー・・ヒュッケバインが巨大なトレーラーによって別々に運び込まれる様子が映っていた。
グルンガストとヒュッケバイン・・シャドウミラー事件においても、圧倒的な性能によって反乱軍の猛攻を次々と突破していったPTX計画の特機である。
「それぞれ別々の場所に運ばれているようだけど、凍結が決まったのかしら」
「おそらくな・・、これでPTXチームの戦力はガタ落ちだ。現在奴らの持つ旧式のゲシュペンストぐらいなら俺たちのゲシュペンストMK−IIカスタムの敵じゃないだろう」
そう言うと、2人の口が少しばかりにやついた。
「ウフフ・・でも念のため、あの2機が運ばれている場所を想定しておきましょうか」
「言うまでもないがな、グルンガストはテスラ研へ、ヒュッケバインは月のマオ社で保管される。」
「当然ね、それじゃ、私は先に彼らに仕掛けるわ、あなたもすぐに合流しましょ。」
「今頃PTXチームは極東エリアのパトロールをしているはずだ、了解、後でな」
PTXチームの戦力と現在の行動範囲を特定する会話を行うと、彼女は通信を切った。
彼女の傍らでしゃがみ込む機体こそ、会話の中であったゲシュペンストMK−IIのカスタム機である。
「ガンメサイア・・この機体なら・・」
ガンメサイア、それが彼女専用のゲシュペンストMK−IIカスタムの名前なのだろう、
コクピットに入った彼女はヘルメットを被り、操縦桿を強く握り、機体のバーニアを吹かせて極東へ進路を取った。
レイナが極東へ向かっている頃、標的であるPTXチームもパトロールを行っている最中だった。
「表ではパトロールと言いつつ、俺たちも結局シャドウミラーの“残党狩り”を手伝わされているんだよな、どうもな・・俺の性に合わない」
青い髪をした男が機体のディスプレイを通じて上空から周囲を見回しながら言った。
PTXチームでパーソナルトルーパーのテストパイロット等を務めているイルムガルト=カザハラ少尉である。
彼はシャドウミラー事件において、グルンガストを駆り、一騎当千の戦果を挙げている。
彼の言葉の中にある“残党狩り”とは、2度と同じ過ちを繰り返さないように新たな脅威が出る前に摘んでおくという名目のもと行われている行為である。
シャドウミラー事件以降、内から来る敵の存在が身に染みた上層部の連中は、シャドウミラーに加担していた元連邦軍所属の者達を徹底的に排除する姿勢に出ているのだ。
敵味方に分かれたとは言え、かって同じ志を誓った者を撃つのは、イルム少尉に拘わらず、現連邦軍所属部隊の誰もが嫌っているのだ。
しかし、軍という組織においては上の命令は絶対で、従う他無い。
従わなければ反逆者扱いされる事も珍しくない。
「敵対信号無し、異常無しっと、そろそろリンと合流するか」
1時間程の軽いパトロールを終えようと、同僚であるリン=マオとの合流地点に設定している近くの森林へ向ったイルムであった。
「おっと、あいつ真面目だからな、また念入りにパトロールしているのか、俺はと・・じっくり待つとしますか、警戒を怠らずな」
機体を地面に着地させたイルムは、主力武器であるプラズマカッターを機体に握らせ、操縦桿を軽く持って待機した。
イルムのゲシュペンスト・Sが待機してから20分前後、レイナの搭乗するガンメサイアは徐々に迫っていた。
「機体データ照合、間違いない、あれがPTXチームのゲシュペンスト・Sね」
高高度から森林に待機している黒い機体ゲシュペンスト・Sを見つけたレイナが言った。
標的を見つけたら、後は仕掛けて仕留めるだけだ。
ピピピ・・っ
同時にイルムもガンメサイアの反応を捉えていた。
ディスプレイには所属無し・・未確認、アンノウンの信号が出ている。
「リンじゃない、まさか・・敵と遭遇するとはな、ヒーローから戦いは無くならないってか」
「ターゲットマルチロックオン、スプリットミサイル発射」
ガンメサイアの背中に装着されている小型ミサイルがゲシュペンスト・Sへ向けて放たれる。
「ちぃ、話す暇すら無いのかよ!!」
小型ミサイルが迫ってきたのを知ったイルムだが、回避行動を取ろうとはしなかった。
回避行動を取らないのなら受け止めるとでもいうのだろうか
「(かわさない!?確かにあの機体の装甲は厚い・・けど、このミサイルの束が直撃すればコクピットは無事ですまないはずよ)」
「ミサイル如きで俺を仕留められるかよ!!」
ゲシュペンスト・Sが右手に構えていたプラズマカッターで小型ミサイルを1、2、3、4と切り落とした。
するとゲシュペンスト・Sの周りに爆煙が出る、イルムはこの爆煙も利用するつもりだったのだ。
「レーダーには映るが、煙で隠れたディスプレイからは俺の位置は特定しづらいよな!」
「何!?ミサイルを利用された!?」
ゲシュペンスト・Sがプラズマカッターをスカートにしまうと、バーニアを吹かし、煙の中からガンメサイアへ向かって飛び出した。
装備されているプラズマステークが青く輝く
「機体の関節部分とコクピットに狙いを定めたようだが、まだ甘いぜ!!必殺!ゲシュペンストパンチ!!」
「(旧式でこれだけの事をやれるの!?)連邦にも・・まだこんなパイロットが残っていたなんて」
ガンメサイアの懐へ青き拳が入ろうとする、レイナは操縦桿を素早く動かすと、機体のスカートから2つのロシュセイバーを瞬時にガンメサイアへ構えさせた。
ゲシュペンスト・Sのプラズマステークが2つのロシュセイバーの交差部分で受け止められる。
バチバチバチ!!
2機の武器同士が激突し、コクピット内に眩しい閃光が来る。
「フフ・・腕のパワーはあちらが上のようね」
ガンメサイアの片足がゲシュペンスト・Sの足へ引っかけられる。
「おわっ!?こういう勝負事は嫌いか」
空中でバランスを崩したゲシュペンスト・Sがよろめく、
その隙を狙い、ロシュセイバーの一撃目がゲシュペンスト・Sの肩から胸部にかけて斜めに切り裂いた。
「今のは痛かったぜ、だがな!!」
二撃目は受けられないゲシュペンスト・Sが下からガンメサイアを眺めながらとっさに下降していくが、当然ガンメサイアは二撃目も浴びせようと接近を試みる。
「一方的にやられるかよ、受けな!!」
イルムはプラズマステークを静めると、標準がぶれつつも、メガビームライフルのトリガーを引いた。
「ああっ・・」
メガビームライフルがヒットしたのか、レイナがそう叫ぶ、メガビームライフルの振動に耐えれないため、構えていたロシュセイバーがガンメサイアの手を離れ、流れ弾が至る所をかすめたのだ。
「惜しい!・・なら、もう一発受けな!」
イルムはメガビームライフルの弾丸を装填し、再度トリガーを引こうとしたが、
別の熱源反応・・赤くて太い光線が急速にゲシュペンスト・Sとガンメサイアの間を横切った。
空中で制止するガンメサイア、再び地上に降りるゲシュペンスト・S。
「来たわね、カイル」
「大分遅れてしまったようだ、実はベーオウルブズに追撃されてな」
イルムの目には、ガンメサイアと呼ばれる青と白のカラーリングを施された綺麗な機体と、メガイラブレイド・Cと呼ばれる赤と黒のカラーリングを施された禍々しい姿を見せる機体が映った。
どちらも最新の技術を取り入れた量産型ゲシュペンストMK−IIのカスタム機に違いない。
「ベーオウルブズ?まさか、キョウスケ=ナンブ大尉が隊長を務める、歴戦のベテラン部隊に?(流石、情報の掴み所も早い難敵ね・・っ)」
「そうだ、ゲシュペンストMK−IIIがいなかった事から別働隊だと思われるが、厄介な連中だ。(アクセル隊長でさえ、奴らには・・・敵わなかった)」
ベーオウルブズ、ゲシュペンストMK−IIIを駆るキョウスケ大尉が隊長を務めている大戦の英雄部隊の名である。
シャドウミラー事件において、赤髪のエース、黒騎士アクセル=アルマーをも苦戦させた実力を持つのだ、その部隊ならではの強固な団結力もあってこそだが。
「さてと、無駄話しは後にしましょ、あれがターゲットのイルムガルト=カザハラよ」
「旧式でありながら、おまえの機体を苦戦させた奴か、ま、2対1なら圧倒的だが」
「いいえ、フェアな戦いになりそうよ、あれ見て?」
その場にいる3機のディスプレイにもう1機の黒いゲシュペンストが映る、武装からしてリアルタイプのようだ。
「ターゲットインサイト、これで・・仕留めれるか」
射程内に入ったのを確認したリンが操縦桿のスイッチを押す。
リアルタイプのゲシュペンスト・Rが、メガイラブレイド・Cへ向けて、不意打ちの如くニュートロンビームのトリガーを引いた。
「不意打ちに当たる程、俺は雑魚じゃない」
ビシュ、バシュン・・ブウゥン
普通のプラズマカッターより大きめのレーザーソードが細い光を受け流した。
それは同時に2戦目の合図とでも言うように
第2話「高速の一撃」へ続く。
あとがき
アクセル「5話以内で完結させたい予定のPTX戦記〜White Avenger〜(短編)始まったな」
レモン「所で何でPTX戦記ってタイトルにしてるか知ってるかしら?」
アクセル「PTXはPTXチームのPTXだろ、PTXチームの活躍を描きたいからだな」
レモン「そうね、そんな所よ♪別にスーパーロボット大戦OG何々でもよかったのでしょうけど」
アクセル「ん・・?細かいことは忘れろ、PTX戦記は別の意味で新鮮味があっていいじゃないか(笑)」
レモン「今回の話で登場した機体は、グルンガスト、ヒュッケバイン、ゲシュペンスト・S、ゲシュペンスト・Rと・・」
アクセル「アルトアイゼン・ナハトことゲシュペンストMK−IIIに、小説オリジナルのゲシュペンスト・ガンメサイアとメガイラブレイド・Cだ!!。」
レモン「この2機は作者じゃなくて、ヘンリーさんという方が考えてくれたのよね、感謝しているわ!!!。」
アクセル「ただ、原型がオーバーパワーなんで、小説設定じゃ、武器も少し削ったり、攻撃力も下げるかもしれん。
詳しくは機体設定を参照してくれ!」
レモン「そうそう、オリジナルキャラのレイナ=ホワイティンだけど、誰かに名前似ていると思わない?」
アクセル「フッフッフ、レオナ=ガーシュタインだろ?それっぽい名前してるな、何でだ?」
レモン「それはね、作者がレオナをイメージして考えたキャラだからよ、後、綺麗な名前をつけたかったって所かな」
アクセル「それも詳しくはキャラクター設定参照した方が早いな、うん。」
レモン「ちなみに、キョウスケ達にやられた扱いになっている私達だけど、OG2同様、この世界ではやられずに・・、
ひとまずあちらへ転移して、あちらでやられた事になっているわ(悲)」
アクセル「ま〜・・・このパラレルワールドにおける、この世界観とか、その他設定が好きなら仕方無い」
レモン「宿命って事かしら」
アクセル「ハハハハハ・・宿命・・辛いな。」
ラミア「レモン様、アクセル隊長、まだ1話なのに語りすぎでございますですわ・・何故だ・・修復したはずの言語回路が・・・」
レモン「ラミア大丈夫?それでは」
アクセル「次回、PTX戦記〜第2話「旧式の限界」(予定のタイトル)〜!!!かっては高性能と言われた試作機を上回る力を見せるカスタム機。パイロットの腕だけではどうにもならない限界が見えたイルムとリンはどうするのか!?」