第7話 (最終話)「白き流星・・そして次元転移」
信一が見た父さんの資料に載っていた機体、ヒュッケバイン零カスタム・・・
今、信一はヒュッケバイン零カスタムと向き合っている。
「俺はお前と出会う運命だったんだろ、ヒュッケバイン零カスタム!!」
信一はヒュッケバンを見ながら力強くそう叫んだ。
すると
「ああ、主の言うとおりだ」
信一の耳に声が聞こえてきた。
そう、後ろからではなく、目の前のロボットから聞こえたような気がしていた。
「な、何故話すことが出来るんだ!?」
「私にはAI機能が搭載されてる、そのAI機能で喋れるようにしてくださった」
「そうなのか」
大袈裟に驚く事もなく、信一が答えた。
信一の質問が終わると、少しの間沈黙が続いた。
そして、その沈黙を破ったのはヒュッケバインだった。
「信一、お前に聞こう、お前が私の力を借りて何がしたい」
「な・・・何がって、・・・」
ヒュッケバインの問いに、少しの間信一は考えていた。
「戦争の無い世界を目指したい、それが、父さんの目指す世界だから」
「承知、確かにその望み、しかと聞いた。
(フッ、他人が望んだ物、それは自分にとってプラスにはならんよ、それを何時か知る事になるぞ、主自身がな)」
ヒュッケバイン零カスタムにとって、信一の望んだ事が、信一自身へ良い影響を与えない事を零カスタムは悟っていた。
そこへ、空から飛んでくる物体があった。
「何だあれは!」
「ゾンダー、知っているだろう、奴らの存在を、かつてこの地球で暴れていた者の1種だ」
ヒュッケバイン零カスタムの説明を聞いた信一は後ろを見やった。
自分だけならコックピットに入れるが信一の後ろの女性達は入りきらないからだった。
「安心しろ、異空間の中にいればいい、私の手の上に乗れ」
ヒュッケバイン零カスタムがそういうと女性全員が手の上に乗った。
「皆、安心して、きっと助かるから」
信一は目の前の女性達に少し微笑みながら言った。
「無理・・・しては駄目よ、今の貴方が複雑な気持ちなのは皆知ってるんだから」
蓉子は心配そうな顔してそう言った。
「大丈夫です。俺はやります、じゃあヒュッケバイン、頼む」
「承知」
そう言って口の前まで手を持って行き、それを飲み込んだ。
「さあ乗れ、私の主よ、今目の前にいる敵を滅するのだ。
そして同時に主は過酷な道のりの始まり、それを越えられるか否か、しかと見とどけさせて貰う」
ヒュッケバインのコックピットが開き、中のシステムが光り始めた。
そして・・・信一はヒュッケバイン零カスタムに搭乗した。
「目の前の敵を撃破する、行くぞヒュッケバイン零!」
「承知」
信一のヒュッケバインは大きい剣の様な物を出した。
「この剣は?」
珍しい形をした、その大きい剣の様な物を不思議がる信一。
「ケルベロスブレード、使い勝手は難しいが、上手く使えるようになればどんな敵にも確実に当たる」
「そうか、行くぞ!」
信一はそう叫んで目の前のゾンダーに向かってワンステップを踏んだ。
唯のステップではない、瞬時にブースターを吹かし、加速力が増加している、当たった時の振動も強いだろう。
「てやぁぁ!」
ブレードを構え、ゾンダーに当てようとしたが避けられた。
だが、もう一方の攻撃をした。
「マシンガン、角度調整・・・良し、ファイヤ!」
ゾンダーに標準を合わせ、マシンガンのトリガを引いた。
20発中7発を避けられた。
「ゾンダー」
ゾンダーが口から紫色の液体をヒュッケバインに向けて飛ばした。
「シールド展開!」
ヒュッケバインの左肩部にあるシールドを取り、前にかざした。
ヒュッケバインのシールドに液体がかかり、命中した部分が溶けていった。
「くそっ!まったくダメージが当たって無いなんて、ん?後方から熱源反応、こんな時に!?」
暫くゾンダーと睨み合っていると、後方と前方から接近してくるものがあった。
「ほぅ・・あれは九条博士の開発したPTですね」
「シラカワ博士、ここまで来たのは・・まさかアレを見るためだったのか?」
「どうでしょうね〜・・クックック・・、ひとまず手助けといきましょうか、ヴィレッタ?」
前方から、若いながらも、数々の博士号を持つ希代の天才シュウ・シラカワ博士の搭乗するグランゾンと、
複雑そうな事情からシュウに協力するヴィレッタ・バディムという女性が駆るR-GUNパワードが姿を見せた。
また、後方から高エネルギーがヒュッケバイン零カスタムと対峙していたゾンダー達へ直撃し、その身を焼いていく。
「無の闇へと消え去れ!ソウル・オウルスマッシャー決まったわ!!!きゃ〜〜!!!」
「な、何だ?」
とっさに驚く信一
ゲシュペンストゲシュタロスというカスタム機に乗る藤堂優という女性が後方から放ったエネルギーでゾンダー達を殲滅したのだ。
「フフ、驚いているようですね、ですが、私達が敵でない事はわかっていただけたと思います。」
シュウが信一へ通信をする、信一はまだ状況が飲めないでいた。
「俺を助けてくれるのか?」
「違うわよ、私達は、その・・たまたま通りかかっただけ、別にあなたを助けにきたわけじゃないわよ」
優がかっこつけた風に言う、信一は
「そうか、ありがとう!」
と、とりあえず礼を言った。
「まだ油断しないで、何か来る!?」
ヴィレッタが声を張り上げて言う
「うわっ!?何だ・・この反応!?」
「空間が乱れていますね、あなたは、今すぐここから待避するべきです・・わかりましたね。」
シュウが命令口調で信一へそう伝えた。
「ちょ・・、でもあんた達は大丈夫なのかよ?」
「何を言っているのです?私達はただ・・この世界に干渉したがために、この世界で通常起こる出来事を変えてしまいました、今から、その審判が下されるようです。」
「それにあなたが巻き込まれる事はない、わかったわね?」
信一には言っている事の意味がわからないが、この人達はとても大変な事をしているのだと思った。
できるなら協力したいと思いながらもヒュッケバイン零カスタムが、その場を離脱する。
離脱しながらヒュッケバイン零カスタムは
「(この世界で、信一の知らない何かが起こっている・・だが・・私達が干渉するべき問題ではないという事か)」
と割り切る考えを出した。
ゾンダーを退けたシュウ、ヴィレッタ、優達の前に、ゲシュペンストとヒュッケバイン、超魔装機を足して割ったような機体が1機姿を現す。
その機体はグルンガストと同じ大きさをしている。
「もうすぐ・・貴様達は次元転移に巻き込まれる」
空間を割って出てきた機体に搭乗するパイロット・・ゲシュペンストとヒュッケバインを足して割ったデザインで、
模倣した仮面を付けている男が言った。
「次元転移ですか、このグランゾンの力を持ってしても防ぎようがありませんね。」
「シラカワ博士、あの機体を撃つか?」
「フッ、お手合わせ願いましょうか?私達に下される審判とやらを・・?」
模倣した仮面を付けている男がそれに答える
「私を審判者と勘違いしているようだが、私も遙か遠い空間から偶然ここに迷い込んだのでな・・・。
いいだろう!このゲシュシスティクの力を見るがいい!!!」
隙を見つけた優が、ゲシュタロスからソウルオウルスマッシャーをゲシュシスティクへ放つ!
「その武器で私を見極めるのかな?無駄だ・・・!!」
ゲシュシスティクがソウルオウルスマッシャーの中を突撃してきたのだ。
「え?な、何何何何???!?」
優はそのゲシュシスティクの行動を見て、頭が混乱してきた。
「このゲシュシスティクの腕はあらゆるエネルギーを吸収し・・この機体のエネルギーへと変換する事ができるのだよ!!」
ソウルオウルスマッシャーへグーにした腕を突っ込ませたゲシュシスティクがゲシュタロスの前へ来た。
「っ・・!?もう駄目なの!??」
優が目をつぶる、やられると思ったのだが、
「優、得体の知れない相手へ手加減はできないはずですよ?ワームスマッシャー!!!」
ゲシュタロスの前へ現れたワームホールから放たれた重力波がゲシュシスティクを貫く。
「シラカワ博士、援護感謝する!」
R-GUNパワードの両肩からハイ・ツインランチャーが発射されると、それもゲシュシスティクを貫いた。
シュウはヴィレッタを援護したつもりはなかったのだが、結果が良ければこの際どうでもいいだろう。
「シュウ・シラカワ・・・・いつも少数で行動しているのは知っていたが、ここまでの力を持っていたのは知らなかった・・フッフフ」
模倣した仮面を付けた男が不適に笑う、ゲシュシスティクは装甲を貫かれ、もうやばい状態のはずだが・・
「ほう、あれだけダメージを受けて、まだ余裕ですか、ならば・・」
グランゾンが上半身の中心部分に包み込むように手を構えると、エネルギーが集まっていく・・
ブラックホールクラスターを放つつもりだ。
「余裕ではない、が、この機体に備え付けてある、あるシステムが起動したようだ・・。」
なんと、ゲシュシスティクの受けたダメージが瞬時に回復していっているのだ。
「え?何よ、あなた・・それってせこいわよ、私達の機体に自己修復能力なんか無いのに」
「自己修復能力ですか、回復が追いつくまでに破壊しなければなりませんね、では受けてもらいましょうか!!ブラックホールクラスターを!!!!」
グランゾンからブラックホールクラスターが放たれる!!。
しかし、ブラックホールクラスターを放った直後、周囲がとても眩しい光に飲み込まれた。
「決着をつけれなくて残念だな、シュウ・シラカワ・・グランゾン・・また会えたら私との決着をつけてもいいが?」
「それは・・この世界を作っている審判者が決める事ですね、私達・・あなたも含めて・・決める権利はありません」
その場にいたシュウ、ヴィレッタ、優は突如起こった次元転移に巻き込まれ、別世界を転々と彷徨う事になる・・。
次元転移前に対峙したヒュッケバインとゲシュペンストの頭部を足して割ったデザインをした仮面を付けていた男の行方はわからない。